機械学習の授業に Google Cloud Platform を採用したハワード ウエスト

ハワード大学の Gloria Washington 教授は、Cloud Datalab や TensorFlow などの Google Cloud Platform ツールを利用することで、ハワード ウエストの学生が機械学習の機能と自分自身を信じる力によって問題を解決する方法を実践的に理解できるようサポートしています。

Gloria Washington 氏(現在、ハワード大学のコンピュータ サイエンス教授)がジョージ ワシントン大学で博士号取得を目指していたとき、人々は彼女が果たして学位を取得できるかどうか疑問に思っていたと言います。「ある教授に『君にはそんな能力はないだろう』と言われたこともあるのです」と話す Washington 氏。「それは本当に人を深く傷つける言葉でした。必要な GRE のスコアや成績はすべて挙げていたのですから。」しかし、否定的な人々の言葉で夢の実現をあきらめるような Washington 氏ではありませんでした。

「コンピュータ サイエンスの博士号を持つ黒人女性の数を増やしたいのです。」

Gloria Washington, ハワード大学, コンピュータ サイエンス教授

新たな関心の芽生え: 人間とコンピュータの相互作用(HCI)

ジョージ ワシントン大学の National Physical Sciences Consortium(米国物理科学コンソーシアム)フェローであった Gloria Washington 氏は、アプリケーションのエンドユーザーを中心とする研究分野「人間とコンピュータの相互作用」(HCI: Human-Computer Interaction)に出会います。「人々の役に立つことをしたかったので、エンドユーザーのサポートとソフトウェア エンジニアリングを融合させた分野で働きたいと常々思っていました」と語る Washington 氏。「この分野では、ただ単に机の前に座ってプログラミングを行うのではなく、ユーザーとの交流を通してその声に耳を傾け、思考回路を理解し、ニーズに合わせてアプリケーションを開発するので、本当に興味深いのです。」コンピュータ サイエンスの知識とスキルを使って人々の役に立ちたいという熱い思いと強い意志を胸に、Washington 氏は努力を重ね、ついに HCI の博士号を手に入れました。

卒業後、国家安全保障局(NSA)や Booz Allen Hamilton といった組織でのキャリアを経て、Washington 氏は自分に本当にふさわしい場所はアカデミアであるという結論に達しました。「自分の考えだと思っていたことが、実は組織の考えであることに気付いたのです」と話す Washington 氏。「それはそれで結構なことなのですが、キャリアを積み、博士号を持つその分野の専門家としての地位を確立しようと必死に努力しているのに、自分の仕事が認められないのは辛いことです。」そこで、Washington 氏は教育者の道に進むことを決意しました。「自分自身の考えを持てるだけでなく、自分と似た境遇の人たちが博士号を取得できるように導けるのが魅力です。」

ハワード大学での教育に情熱を注ぐ Washington 氏

ハワード大学に移ってからというもの、Washington 氏は学生の意欲を高め、その目標達成をサポートすることに常に努めており、高等教育で不遇な立場に置かれている少数派の学生に特に重点を置いています。「もっと多くの黒人女性がコンピュータ サイエンスの博士課程に進めるようにしたいのです」と語る Washington 氏は、ハワード大学の教授になってからわずか 2 年で、博士号を手にした黒人女性の卒業生を初めて送り出しました。

学生に勇気を与え続ける Washington 氏ですが、ハワード大学の教室にはまだ課題が残されています。「この大学には資金に余裕がないため、学生が使うコンピュータの一部はずいぶん古くなっています。」古いハードウェアには、コンピュータ サイエンスの学生が取り組むような作業に必要とされる処理能力が備わっていません。

資金不足のカリキュラムで授業を効率化し、学習をサポートする高度な技術を採り入れるにはどうすればよいのでしょうか。Washington 氏は、その答えが Google Cloud Platform(GCP)を利用することにあると考えています。「GCP を利用することができれば、ハードウェアの障害とそれによる問題を乗り越えられるでしょう」と述べています。

Google Cloud Platform で学生のアプリ構築を支援する

通常、Washington 氏の一部のクラスではあるローカル アプリケーションを学生に設定してもらいますが、これがモバイル開発を遅らせることもあります。しかし、現在では GCP のさまざまなツールを利用すれば、このような問題を解決することができます。「設定が簡単で実際に機能するバックエンドに学生がアクセスできるようにしたいと考えました」と語る Washington 氏。「膨大なデータベースを構築して PHP で接続する方法よりも、開発中のモバイルアプリに簡単に接続できて、使用しているデータをキャプチャできる API ベースのシステムを学生に使用してほしかったのです。」

Washington 氏は、高性能のアプリを手軽に開発できる Google のモバイル プラットフォームである Firebase を使ったある女学生の成功談について語ってくれました。「この学生は、しかめっ面や笑顔、無表情など、いろいろな表情の自撮り写真を撮ると、その感情に基づいて再生リストの候補を表示してくれるアプリケーションを開発しました。画像は Firebase に保存されるので、後からアクセスすることも可能です。必要な作業は、API を使って Firebase をこのモバイルアプリに接続するだけだったので、たいへん便利だったようです。」

「Datalab を選んだのは、すぐに使い始められて、何もダウンロードする必要がなかったからです。」

Gloria Washington, ハワード大学, コンピュータ サイエンス教授

機械学習を授業に採用する

カリフォルニア州マウンテンビューの Google のメイン キャンパスで開催されたハワード ウエスト初回クラスのラボ教授となった Washington 氏は、今年の夏、Google 社員の Sally Goldman と共に機械学習のコンピュータ サイエンス クラスを担当しました。このクラスで扱ったのは、GCP の Cloud Datalab と TensorFlow を使用して機械学習の問題に取り組む方法でした。

Datalab は、データを探索、分析、変換、可視化したり、GCP の Google Compute Engine 上で実行可能な機械学習モデルを構築したりするために開発された高性能でインタラクティブなツールです。一方、TensorFlow はデータフロー グラフを使って機械学習アルゴリズムの構築とトレーニングを簡単に行える数値計算用のオープンソース ソフトウェア ライブラリです。どちらの GCP ツールも、Washington 氏と学生にとって授業の役に立つものでした。

「学生が TensorFlow とそのライブラリをダウンロードする必要も、使っているノートパソコンにサポート対象の必要なライブラリがあることを確認する必要もなかったので、Datalab は本当に役に立ちました」と話す Washington 氏。「現在、Datalab は Jupyter で実行するため、学生が TensorFlow にデータを取り込む必要がある場合は、コードの呼び出し 1 つで簡単に取り込み、実際のインターフェースで実行できます。データベースのコピーが保存されているクラウド サービスに接続されるので、とても速くできます。ハワード大学でもぜひ Datalab を利用したいです。」

Washington 氏が今年の夏にハワード ウエストで Datalab を利用したのには、明確な理由があります。「Datalab を選んだのは、すぐに使い始められて、何もダウンロードする必要がなかったからです」と述べる Washington 氏は、1 日足らずで Datalab を使い始めることができました。また、Datalab のおかげで、TensorFlow の機械学習アルゴリズムと API がとても使いやすくなったと語ってくれました。

「初めて使ったときもあっという間でした。学生に Python を復習させ、TensorFlow への特定の API 呼び出しの方法を理解してもらうだけで済みました」と説明する Washington 氏。「学期の週数のことを考えると、本当に効率的です。ライブラリのダウンロードが必要であれば、そのライブラリをコンピュータ上で呼び出す方法を教えなくてはなりませんが、Datalab ではその必要がなかったのですから。」

わずか 5 週間での学習を可能にするツール

全体として、Washington 氏は Datalab と Tensorflow を利用することで、アプリケーションとプロジェクトを中心としつつ、舞台裏の技術ではなく、機械学習による問題解決の実践的な理解に焦点を当てた夏期コースを構成することができました。

「このコースは 5 週間しかなかったので、このような構成を実現できることは極めて重要でした。ライブラリをダウンロードし、正しいコマンドを使ってシェルからライブラリを実行できるようになるまでに 1 週間もかかるようでは、不要な複雑さが増しますが、GCP のツールで複雑さがずいぶん削減されました。」

Washington 氏は今後、ハワード大学での授業に Google のツールが欠かせないと考えています。「ハワード大学の今後の研究プロジェクトでは、Datalab と Google Developers のコードラボを利用する計画です。Datalab なしで機械学習について教えるなんて、今ではもう考えられません。」

学生にテクノロジーを提供することに加え、障害を乗り越えて学問的に成長するためのアドバイスについて、Washington 氏は次のように述べています。

「20 歳の自分に会うことができたら、このように言ってあげたいです。誰もあなたが成功するかどうかを決めつけることはできません。それを決めるのは自分自身であって、時間をかけてやるべきことを行うかどうかなのです。他の誰かがあなたのことをどう思おうとも、人生をかけてやりたいと思ったことを変えるべきではありません。競争や成績を重視するのではなく、互いに励まし合い、向上し合えるプロ意識の高い組織に参加するとよいでしょう。また、教室外でも自分で何かに取り組むようにしてください。たとえば、人間を中心としたコンピューティングに関心があるなら、自分で数々の論文を読み、『何もわかっていない』などと言われないように知識と理解を深めることが大切です。」

教育機関のプロフィール

「ハワード ウエスト」は、ハワード大学でコンピュータ サイエンス(CS)を専攻する学生を、カリフォルニア州マウンテンビューにある Googleplex での特別研修に招待した 12 週間の夏期集中プログラムです。参加した学生は、コンピュータ サイエンス課程の最後の 2 年間、Google のキャンパスで経験型カリキュラムを受講し、ハワード大学の教授陣や Google のエンジニアから直接指導を受けました。カリキュラムの目的は、学生がプロジェクト チームに分かれ、職務的なアクティビティや学術的なアクティビティを通して学習することで、実際の職場で応用できるプロジェクトに取り組み、卒業と同時に即戦力となるスキルを身に付けることでした。また、このプログラムの全体的な目標は、Google、シリコンバレー、アフリカ系アメリカ人コミュニティの関係を強化するとともに、IT 業界でのアフリカ系アメリカ人の割合を増やすことでした。

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