教育の革新
教師の意欲を高めることで、生徒の関心を引き付ける授業を行うことができます。また、管理業務を効率化すれば、教師は指導により多くの時間を割けるようになります。世界中の教師は実際の授業に 1 日 5 時間を費やしています。これに対し、採点や授業計画の作成などの関連作業に1 日 3 時間を費やしています。
3 時間教師は採点や授業計画の作成などに 1 日 3 時間を費やしています。
Cambridge Assessment International Education、2018 年
53%のスペインの教師が、テクノロジーによって教師同士の共同作業が可能になると考えています。
Blink Learning、2018 年
88%のイギリスの教師が、教育向けテクノロジーを活用することで教育の革新と質の向上が可能になると考えています。
Tes、2018 年
さまざまな国と地域の教育動向
オーストラリア、米国、北欧など、世界の国と地域で教育がどのように進化しているかを詳しくご覧いただけます。
オーストラリア
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カナダ
日本
メキシコ
オランダ
ニュージーランド
北欧
スペイン
英国
米国
Anneli Rautiainen 氏との対話
フィンランド国家教育委員会、Innovation Unit ヘッド
今後 10 年間で専門能力開発はどのように発展すると思いますか?
将来的には、専門能力開発は仕事の一部として継続的に行われるべきだと思います。教師と校長は個々の専門能力開発計画を用意し、計画に自身の考察と同僚の考察を含めます。急速に変化するこれからの世界では、知識よりも能力の重要性がさらに増していきます。オンライン学習も進化していくでしょう。グローバルでも地域社会でも、知識を共有できるコミュニティに学習の場が生まれていきます。
クラスルームの効果的な革新とは何か、一言で説明してください。
クラスルームの効果的な革新とは、生徒同士または生徒と教師が協力して生み出すもの。
学校と教師がクラスルームでの指導方法を効果的に革新するために最も重要な基礎は何であるとお考えですか?
コラボレーション文化が学校に根付いている必要があります。教師と学生が継続的に学習し知識を共有できるコミュニティを作り、校長はこうしたコミュニティが互いに協力できる機会を用意します。
エキスパートの詳しい説明
Karen Cator
Karen Cator 氏との対話
Digital Promise、社長兼 CEO
今後 10 年間で専門能力開発はどのように発展すると思いますか?
長い間、画一的な専門能力開発の授業は非効率で、教師の決定を改善する効果に欠けるとみなされてきました。ある調査によると、専門能力開発の最も効果的な方法の 1 つはクラスルームのコーチングを行うことです。この方法では、コーチがクラスを管理するための戦略や生徒の関心を高めるための戦略のモデルを示します。コーチは教師と共同で指導したり、観察してフィードバックを提供したり、生徒のグループをサポートしたりすることもできます。モデルの改善や、コーチングやメンタリングのためにクラスルームにリアルタイムでバーチャルにアクセスするといったことも近いうちに可能になるでしょう。
テクノロジーは専門能力開発に良い影響を及ぼしていると思いますか?
教師も学習者です。生徒と同じように、さまざまな方法で学習しています。インターネットを使用すれば、知識とスキルを高める絶好の機会をオンラインで得ることができます。たとえば、動画による説明やデモを見る、専門家や教師のコミュニティと交流する、さまざまなアイデアや調査結果を確認するといった機会です。さらに、データを校外に公開したりメンターや小規模なコミュニティと共有したりできるので、自分で考察するだけでなくフィードバックを受けることもできます。アクセスしやすくわかりやすい方法で提示されているデータを賢く活用すれば、専門能力開発を通して戦略や生徒のグループ分けを見直す必要性を明らかにして、その方法に関する有用な情報を得ることができます。
効果的な専門能力開発とは何か、一言で説明してください。
真正的で応用可能であること、個々ニーズに関連していること、連携し考察ができること、探求を促し生徒中心であること。
効果的な専門能力開発に最も重要な基礎は何であるとお考えですか?
あらゆる学習と同じように、学習の目的を提示すること、専門能力開発に費やす時間が有意義であることを教師が認識することが必要です。また、クラスルームでの実践に応じた主題、生徒のニーズ、管理に焦点を当てます。学習したことを応用、評価、考察する明確な機会を設けることも大切です。
Jun Takahashi
高橋純氏との対話
東京学芸大学教育学部准教授
革新的なクラスルームを実現するための学校の取り組みにテクノロジーはどのような影響を及ぼしていると思いますか?
すべてが変わりつつあります。指導方法、評価方法、日々の学習記録、保護者や生徒との緊密なコミュニケーション、その継続的な記録といったものが、質的にも量的にも改善しています。たとえば、能動的な学習ではアクティビティにテクノロジーを活用するという側面が強調されますが、これは教師の指導能力の向上にも役立ちます。教師たちの間では、毎日インターネットで効果的な指導方法に関する具体的な情報が交換されています。本や紙を使っていた以前の方法と比べると、より頻繁に情報が交換されています。わかりやすい動画を活用したり、フィードバックも共有したりできるため、指導方法を改善しやすくなっています。学習プロセスや結果は電子的に保存されて保護者や生徒と共有されるため、フィードバックを毎日簡単に確認できます。このような指導方法の改善は日々の小さな積み重ねなので、明らかな違いは感じられないかもしれません。しかし、10 年前と比べると指導方法は大きく改善されていると思います。
学校での効果的な革新とはどのようなものでしょうか?また、効果的でない革新とはどのようなものですか?
革新には 2 種類あると思います。1 つは一斉に物事を完全に変えるもの、もう 1 つは日々の改善の積み重ねを数年ごとに振り返ると、大幅に変更されていることがわかるものです。前者の革新が必要になることもありますが、学校で効果的なのは後者です。日本での教師の仕事は非常に複雑です。生徒、保護者、地域の人々、教師、教育委員会などの数多くの関係者が関与するため、すべての関係者の間でなんらかの同意を取り付けることが不可欠です。テクノロジーは 1 つのツールです。テクノロジーを導入しただけではうまくいかなければ、日々の改善の積み重ねによって革新を起こすしかありません。
学校と教師がクラスルームでの指導方法を効果的に革新するために最も重要な基礎は何であるとお考えですか?
現状に満足せず、毎日改善と進化を積み重ねていく心構えを持つことだと思います。たとえば、大々的な革新を行う場合、対象の部分は大幅に進化しますが、その周囲にはなんらかのひずみが出てくるでしょう。そうしたひずみは後になって現れ、日々の仕事の中で気付くものです。指導する子供たちのバックグラウンドは多様で複雑なため、毎日慎重に少しづつ改善と進化を積み重ねるしかありません。
Hanna Dumont
Hanna Dumont 博士との対話
DIPF | Leibniz Institute for Research and Information in Education
今後 10 年間で専門能力開発はどのように発展すると思いますか?
社会の多様性が進む中、教師はさまざまな生徒のニーズにどのように応えたらよいのかわからず困っています。今日の指導方法のほとんどが「平均的な学習者」を基準としていることを考えると、それは当然のことです。私の考えでは、生徒一人ひとりのニーズに合わせて指導方法を進化させていくことが最も難しい課題だと思います。これを実現するには、教師が専門能力開発に真剣に取り組み、「状況に応じて指導方法を変える」方法を学ぶ必要があります。
テクノロジーは専門能力開発に良い影響を及ぼしていると思いますか?
学校は子供たちが 1 日の大半を過ごす場所であるにもかかわらず、指導目的でのデジタル テクノロジーの活用は遅れています。私の印象としては、専門能力開発についても同じことが言えます。つまり、教育分野の専門能力開発にテクノロジーが影響を及ぼしている例はまだ目にしたことがありません。
専門能力開発におけるテクノロジーの効果的な活用方法とはどのようなものでしょうか?また、効果的でない活用方法とはどのようなものでしょうか?
専門能力開発でテクノロジーを効果的に活用する方法の 1 つとして考えられるのは、教師同士をつなげて、新しい指導方法を試す際に互いにフィードバックできる「かけがえのない友人関係」を構築できるように活用することです。つまり、テクノロジーをテクノロジーの目的で使用するのではなく、教師のニーズに合わせて使用することが重要です。
効果的な専門能力開発に最も重要な基礎は何であるとお考えですか?
教師が専門能力開発で学んだことを学校やクラスルームの状況に合わせて応用し、新しい指導方法を試すようにすると、専門能力開発が実践で生かされるようになります。さらに、教師同士で学びあったりフィードバックを行ったりすることも、専門能力開発に欠かせない要素です。
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