コンピュータ サイエンスの専門能力開発で地域のコミュニティに機会を提供

課題

Jeff Gray 氏はアパラチアで科学に親しみながら育ちました。Gray 氏は家族の中で初めて大学に入学しましたが、両親は Gray 氏が科学とテクノロジーを探求することを支援するメリットを理解していました。「科学フェアでの体験は今でも覚えています。私の情熱はそこから始まったのです」と Gray 氏は話します。科学とテクノロジーに触れることの重要性を Gray 氏は若くしてはっきりと感じたのです。

Gray 氏はアラバマ大学でコンピュータ サイエンスの教授になったとき、州内のほとんどの高校生(特に田舎のエリア)が、早い段階でコンピュータ サイエンス教育に触れていないことに気が付きました。アラバマは過去数十年でコンピュータ サイエンス関連の仕事のハブとなっており、特にハンツビル地域は NASA の影響で関連テクノロジーの中心地になっています。コンピュータ サイエンスの知識がないと、生徒が就職の機会に備えることができないと Gray 氏は気が付きました。

ただし、生徒にこのような機会を提供することで、障壁も生まれました。アラバマの多くの地方学区には、アメリカ国内でも上位の貧困郡がいくつかあり、コンピュータ サイエンス教育はほとんど行われていません。2007 年には、州全体でコンピュータ サイエンス教育の資格を持つフルタイムの高校教員はわずか 3 人でした(州全体で高校の数は 454)。その年に AP コンピュータ サイエンス A(AP CSA)の試験を受けた 27 人の生徒のうち、女子生徒とアフリカ系アメリカ人の生徒はそれぞれわずか 3 人でした。アフリカ系アメリカ人が人口の 25% を占めるアラバマ州では、コンピュータ サイエンス教育を公正に受けるうえで大きな溝があったのは明らかです。

「私たちはこのギャップを埋める必要がありました」と Gray 氏は説明します。Gray 氏は教師の専門能力開発(PD)が、個々の学校レベルでコンピュータ サイエンス教育を向上させると信じていました。残念ながら 2000 年代後半は、州の資金はコンピュータ サイエンス教育にはほとんど割り当てられていませんでした。教師向けの CS PD はさらに少なかったのです。当初、Gray 氏は大学の夏季プログラムを通じて生徒のコンピュータ サイエンスの知識を強化しようとしました。「私たちが一度に教えることができる生徒はわずか 40 人ほどでした」と Gray 氏は言います。影響を与えることはできましたが、小規模な夏季プログラムは、彼の努力を拡大するには実践的な方法ではありませんでした。

解決策

Gray 氏は教師によるコンピュータ サイエンスのスキル向上を支援することで、自らの取り組みを強化できることに気が付きました。「30~40 人の教師をまとめてトレーニングできれば、生徒への影響は桁違いに大きくなります」と Gray 氏は言います。2011 年、それまで 6 年間にわたって提供されてきた Google Educator PD の助成金が、入門的なコンピュータ サイエンスの PD の提供を目指す Gray 氏に初めて授与されることになりました。Gray 氏は州全体の高校教員に向けた教育学とエンゲージメントの戦略に注力しました。

コンピュータ サイエンスの教育者による新しいグループを維持するための指導とサポートの体制が実現したのは資金のおかげだと Gray 氏は言います。これは、持続可能なコンピュータ サイエンス教育をアラバマで作り上げるための重要な要素です。「私たちは、1 回限りの授業ではなく、初めに教師のコミュニティを作ることに注力しました。」Gray 氏は引き続き 2013 年まで入門レベルのコンピュータ サイエンスの PD の指導を行い、最初の助成金を受け取ってから、指導した教育者は 100 人近くに達します。

PD の要求が高まる中、Gray 氏は「トレーナーをトレーニングする」ためのより良い方法を必要としていました。それがあれば、教師が自分の地域のコミュニティに戻って、他の教師のトレーニングを行うことができます。2014 年、Gray 氏は教師の AP CS Principles(CSP)試験の準備に役立つよう、大規模な公開オンライン講座(MOOC)を作成して自身の PD プログラムを強化しました。試験のさまざまな要素に焦点を当てた 120 の動画が含まれるこのコースは、アラバマ州だけでなく全米の教師が利用できるように作成されており、現在もオンライン コースとして利用できます。

「専門能力開発における『トレーナーをトレーニングする』モデルの急速な拡大は、幼稚園から高等学校までのコンピュータ サイエンス教育における拡張性と持続性のニーズを満たすために非常に重要です。」

Jeff Gray, アラバマ大学工学部, コンピュータ サイエンス教授

さまざまなメリット

地域のコンピュータ サイエンス教育を発展させるための種をまく

Gray 氏は、幼稚園から高等学校までのコンピュータ サイエンス教育における自身の成功が Google の教育助成金のおかげだと考えています。Google の助成金を初めて授与されてから、Gray 氏はアメリカ国立科学財団(A+ College Ready)からさらに 100 万ドルの資金を授与され、コンピュータ サイエンスの PD プログラムをアラバマ州全体に拡大しました。Gray 氏は、教員にコンピュータ サイエンス教育のトレーニングを行うことは、より多くの生徒(特に、歴史的に過小評価されてきた少数派)が規律を学ぶうえで役に立つと信じています。現在、Gray 氏はアラバマ州のコンピュータ サイエンス教育の州知事特別委員会で共同議長を務めています。また、アラバマ大学教育学部で中等教育の数学専攻コースの実運用に向けて同僚と準備をしています。

専門能力開発の影響を拡大する

Gray 氏の PD へのアプローチでは、パーソナライズされた学習でも、カスタマイズされた MOOC を利用する場合でも、アラバマ州をはじめとする全米での教師の専門性が向上しました。州内の経験を積んだコンピュータ サイエンス教師は、今では自分の学校の教師に対してトレーニングを提供できるようになっています。2007 年に教師の数はわずか 3 人でしたが、AP CSP の教育トレーニングを受けた教師の数は現在、州全体で 130 人にのぼります。2014 年以降、CS Principles MOOC で 2,000 人を超える教師がトレーニングを受けています。

コンピュータ サイエンス教育者のモチベーションを刺激する

Gray 氏と同僚は、過去 6 年間教師の研修に投資し、コンピュータ サイエンス教育者の新しいコミュニティが成長しているのを目にしています。「私たちは教師が全国的なリーダーとしてステップアップするのを目撃しています」と Gray 氏は言います。たとえば、バーミングハムのアラバマ美術学校でコンピュータ サイエンスの教師をしている Carol Yarbrough 氏は、現在カレッジボードの AP CS Principles 開発委員会のメンバーとなっています。

コンピュータ サイエンス専攻を目指さない生徒も対象とする

「生徒全員がエンジニアになる必要はありませんが、自分たちが毎日送信しているメッセージが暗号化される仕組みの基本を理解することは、蛙の解剖と同じくらい重要だと考えています」と Gray 氏は言います。「生徒は多くの事象の裏でテクノロジーが動作する仕組みを理解する必要があります。」2017 年、アラバマの 1,700 人の高校生が AP CS Principles 試験を受験しましたが、Gray 氏によるコンピュータ サイエンス教師のトレーニングと MOOC のコースが導入される前の 2007 年に受験した生徒はわずか 27 人でした。2007 年に AP CS Principles 試験を受験したアフリカ系アメリカ人の生徒は 3 人でしたが、2017年にはその数が 150 人を超えました。同じく、2007 年にこの試験を受験した女子生徒も 3 人でしたが、2017年にはその数が 500 人を超えています。「生徒は手本になる人を実際に目にすることで、自分もそのようになりたいと思うのです。」Gray 氏は、コンピュータ サイエンスの教師や専門家の中に、多様な模範がいることの重要性についてこのように語っています。

教育機関のプロフィール

Jeff Gray 氏について: 家族の中で初めて大学を卒業し、現在はアラバマ大学工学部で教鞭を執る Jeff Gray 博士は、アメリカにおけるコンピュータ サイエンス(CS)教育の第一人者です。2003 年以来、Gray 氏はコンピュータ サイエンスをテクノロジーのコースに統合できるように、高校の教員をトレーニングしてきました。また、カレッジボードのさまざまな面で主導的役割を果たしているほか、新しいアドバンスト プレースメント コンピュータ サイエンス コース用のリソースを作成し、中等教育と高等教育でのコンピュータ サイエンスや STEM への関心を高めることに取り組んでいます。アメリカ国立科学財団の助成金を何度か獲得している Gray 氏は、2014 年から 2017 年まで Code.org の教育諮問委員会のメンバーでもありました。また、毎年行われる幼稚園から高等学校までの全学年の生徒を対象としたアラバマ ロボット コンペティションや、毎年 15 を超える州の生徒が参加するサマーキャンプも主催しています。

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